大学事典 「学位授与式」の解説
学位授与式
がくいじゅよしき
審査を経て認められた学位を授与される際に行われる儀式であり,現在では卒業式や修了式と実質的に同じである。もともと中世の大学では,学位は教授資格であり,学位試験合格者は教授免許者(ヨーロッパ)(リケンティアートゥス)と呼ばれ,ギルドへの組合加入式に臨む必要があった。組合(学部)に入るには宣誓や教職員への贈物を行い,彼らを招いて祝宴(古くドイツの大学で「アリストテレスの饗宴(ドイツ)」と呼ばれる)を催さなければならなかった。こうした饗宴を伴った学位授与式では指輪(学問との婚姻を象徴),書物(職業の象徴),ビレッタ帽(角帽の祖)等が授与されたが,これらは騎士社会や商工ギルドの風習に倣ったものである。学位が教授資格から学外の専門職資格へと変容し,さらに専門職資格的性格が薄れるにつれ,学位授与式は組合加入的な色彩を失い,単なる卒業式や修了式へと変化するが,伝統を重視する大学では今でもガウンの装いやさまざまな儀式が残っている。
著者: 阿曽沼明裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報