宇宙樹(読み)うちゅうじゅ(その他表記)cosmic tree

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇宙樹」の意味・わかりやすい解説

宇宙樹
うちゅうじゅ
cosmic tree

世界樹 world treeともいう。天界と地下界とを貫くようにそびえ,全世界 (宇宙) の秩序を体現していると信じられる巨木。世界各地の神話にみられ,ことに北欧の古代神話『エッダ』のなかの「イグドラシル」 (「オーディン神の馬」という意味のトネリコの巨木) が有名で,その枝は全世界の上に広がり,天の上まで突き出ており,3本の根はそれぞれ神々の国・巨人の国・死者の国へと伸びている。そのほか,古代インドのウパニシャッド哲学,アステカの神話,シベリア諸民族のシャーマニズム信仰などにおいて,宇宙樹は多種多様な表象と意味をもつ。

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世界大百科事典(旧版)内の宇宙樹の言及

【イグドラシル】より

…北欧神話にあらわれるトネリコの宇宙樹。ユッグドラシルともいう。…

【木】より

…シベリアのカラマツには,太陽と月が鳥となって舞い降りる。中国およびインドの宇宙樹には12羽の太陽の鳥(黄道十二宮の象徴)が降りる。またイスラムの預言者ムハンマドは,世界軸にそって旅をし,地獄の深みから天界へとめぐるが,この階梯は多くの場合1本の木によって示される。…

【樹木崇拝】より

…樹木はまた象徴としても表される。《ウパニシャッド》では,宇宙は大空に根を埋め枝を大地に伸ばす逆立ちした〈宇宙樹〉あるいは〈世界樹〉として表されている。北欧神話の宇宙樹イグドラシルもよく知られている。…

【柱】より

…チモール島のアトニ族の家の天井を支える4本の柱のうち正面左前の柱は,穀物や聖物を保存する聖なる屋根裏につながっており,天と地を結ぶ柱とされる。世界各地のこれらの柱は,宇宙の中心を表す〈宇宙樹(世界樹)〉の変形とみなされているが,その本質は日常的な時空間の中に圧縮された特異な点をつくり出すことにあるといえよう。宇宙樹による中心はそのような点の一つである。…

※「宇宙樹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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