宇治茶師(読み)うじちゃし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇治茶師」の意味・わかりやすい解説

宇治茶師
うじちゃし

宇治製茶業を営む碾茶(てんちゃ)生産家の通称。室町時代の宇治七園に代表される宇治茶の生産は、16世紀に入るとますます盛んになり、森家と上林(かんばやし)家が登場して、茶師の地位が成立した。江戸時代に入ると、禁裏や将軍家御用を勤める者が自ら「御茶師」と称していたが、寛永(かんえい)年間(1624~44)に幕府は宇治茶師の制度を定め、幕府の御用を勤める宇治茶師三仲間が確立した。御物御壺(ごもつおつぼ)を預かる上林峯順(ほうじゅん)、竹庵(ちくあん)の両家を代官家とし、その支配下で朝廷および将軍御用の茶を調進する御物(おもの)御茶師11家(初期は8家)のほか、御袋(おふくろ)御茶師9家、御通(おとおり)茶師37家がともに将軍家御用を勤め、その下に御控茶師を置いて仲間の廃業、絶家に備えるなど、地位と格には厳然たる相違があった。宇治茶師はまた各大名家の御抱え茶師となったり、町売りをする場合もあった。これらの仲間は明治維新によって転廃業を余儀なくされた。

[筒井紘一]

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