おふくろ

日本大百科全書(ニッポニカ)「おふくろ」の解説

おふくろ

田中千禾夫(ちかお)の一幕戯曲。1933年(昭和8)雑誌『劇作』3月号に発表された処女戯曲。同年6月築地(つきじ)座によって田村秋子主演で初演され、一躍注目を浴びた。第二次世界大戦後も俳優座や文学座で上演された戦前戯曲の傑作の一つ。夫を失い、女手一つで息子英一郎と娘峰子を育て上げたおふくろ、坂(さか)は、ある日、自分にないしょで息子が家庭教師をし、名古屋への就職先まで決めていたことを知る。子供から男性への成長を知った驚きと疎外された寂しさを味わい、大いに動揺するが、ついには息子に従う決心を固める。母子、兄妹の間に交わされる心理的陰影とリズムに富んだ会話は心理的会話劇の一典型とされる。

[石澤秀二]

『『おふくろ』(1955・未来社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

緑酒

〘名〙 緑色の酒。よい酒。うまい酒の色としていう。※菅家文草(900頃)五・雨晴対月「緑酒猶催醒後盞、珠簾未レ下暁来鈎」※一高寮歌・嗚呼玉杯に花うけて(1902)〈矢野勘治〉「嗚呼玉杯に花うけて 緑酒...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android