朝日日本歴史人物事典 「宇野主水」の解説
宇野主水
安土桃山時代の本願寺門主顕如の右筆。その事蹟はわずかに著書『宇野主水日記』によって知られる。これは天正10~14(1582~86)年の5年間の記録に過ぎないが,石山城退去後の本願寺を知るうえで貴重な史料である。門主一族の内部対立,本能寺の変直後の激動する情勢などの記事以外にも,貴顕たちと「音信」「御礼」といった名目で贈答される品物(馬,刀,食物,織物その他)の豊富さ,頻繁に催される幸若舞,能や茶会の記録のように,文化史,文学史上でも興味深い記事が多くみられ,安土桃山文化を大いに享受していた様子がうかがえる。<参考文献>上松寅三編『石山本願寺日記』
(堀川貴司)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報