安倍内閣(読み)あべないかく

知恵蔵の解説

5年5カ月の長期政権であった小泉政権を受けて、2006年9月に安倍晋三内閣が発足した。安倍政権は、自民党総裁選挙で安倍擁立に動いた政治家を閣僚ならびに首相補佐官に起用し、「お友達内閣」とも揶揄(やゆ)された。安倍政権は、小泉政権の政策基調を引き継ぐとしたものの、小泉政権がどちらかというと新自由主義的色彩が濃かったのに対して、新国家主義を鮮明とした「戦後レジームからの脱却」を掲げて、教育基本法の改正、防衛省の設置、憲法改正のための国民投票法などを強引ともいえる国会審議で成立させた。だが、その一方で政権発足当初より閣僚の政治資金をめぐるスキャンダルや、閣僚の「不用意」な発言が続いた。さらに、小泉政治の負の「遺産」である個人間、地域間の「格差」拡大が政治問題となった。加えて、5000万件に及ぶ年金の記録漏れ問題とそれへの鈍い対応が、内閣に対する国民の批判を強めた。07年7月29日に実施された参議院議員選挙では、自民・公明の与党は過半数を割る惨敗を喫した。だが、安倍首相は自民党総裁=首相続投を表明した。その後、8月27日に内閣改造を行ったが、臨時国会での所信表明演説後の9月12日、突然首相退陣を記者会見で明らかにした。「無責任極まりない」との批判が社会的に起きたことは当然であった。安倍退陣を受けた自民党総裁選挙では福田康夫が選出され、9月25日に福田内閣が発足した。福田政権は安倍政権の新国家主義的な色彩を弱め、国民生活重視の方向を打ち出しているが、参議院の議席は与野党が逆転しており、難しい政権運営の下にある。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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