安房峯(読み)あわお

日本歴史地名大系 「安房峯」の解説

安房峯
あわお

「万葉集」巻一四の相聞の歌のなかに「安波乎あわをのをろ田に生はるたはみ蔓引かばぬるぬる吾を言な絶え」の一首があり、諸注釈書の多くは安波乎呂を安房峯ろ(「ろ」は接尾語)とし、安房国の峯としている。安房峯が具体的にどの山をさすかは不詳であるが、第二句のをろ田(山の斜面の田んぼ、山田)が作者との近接感を表すとして、加茂かも川・丸山まるやま川・平久里へぐり川の上流域にあたる安房中部の地域にこの歌の発生母胎をみる見解がある。この歌の冒頭からたはみ蔓までが「引く」をおこす序詞であり、日頃目にしている安房の山とその山田、そこに生えている蔓草と身近なものを通して、下の句の「引かばぬるぬる」にかかっていくという歌の構成と、また類歌から「引かばぬるぬる吾を言な絶え」という言回しが、かなり広い地域で農村の生活に根ざした性の表現として、民謡のように歌いつがれていたものと思われるともいう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ローマ法王ともいう。ラテン語 Papaの称号はカトリック教会首長としてのローマ司教 (教皇) 以外の司教らにも適用されていたが,1073年以後教皇専用となった。使徒ペテロの後継者としてキリスト自身の定...

教皇の用語解説を読む