日本歴史地名大系 「安食郷」の解説 安食郷あじきごう 愛知県:尾張国春部郡安食郷「和名抄」高山寺本・東急本・元和古活字本のいずれも訓を欠く。康治二年(一一四三)七月一六日付の尾張国安食荘立券文(醍醐寺文書)に「安食郷」とみえ、この時点で、郷内に醍醐寺三宝院領として、安食庄が立荘されたことが知られる。郷域について「大日本地名辞書」は「今味鋺村、川中村などと云ふ」として、現名古屋市北区の庄内川および矢田(やだ)川の合流地点を中心とする一帯にあてる。「日本地理志料」は、「按図称福徳、中ノ切、成願寺ノ三邑、曰ヒ安食ノ荘、称味鋺、如意、大浦、大野木、稲生、安井、光音寺ノ諸邑、曰山田ノ荘、蓋其地也」と述べ、現北区の北部から西区の一部に及ぶ地域に比定する。 安食郷あじきごう 滋賀県:近江国犬上郡安食郷「和名抄」高山寺本は安良郷と記すが東急本・刊本ともに安食郷とする。良は食の誤記であろう。訓は「和名抄」諸本とも欠くが、「延喜式」神名帳に記す「阿自岐神社」からアジキとみられ、高山寺本の安良が誤記であることも判明する。郷域は遺称とされる安食西(あんじきにし)・安食南の地名を残す現豊郷(とよさと)町北西部、同じく安食中の地名を残す彦根市南端部を含む一帯に比定されよう。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by