三綱(読み)さんごう

百科事典マイペディア「三綱」の解説

三綱【さんごう】

仏僧の寺内の諸事を率する役務で,中国では上座(じょうざ)・寺主維那(いな)または上座・寺主・典座(てんぞ)の三つ,日本では上座・寺主・維那または都維那(ついな)の三つ。上座は寺衆を統領し,一切を統轄。寺主は寺務をつかさどり,都維那は直接寺衆に事を伝達し,施物を分与したりする役職。後に已講・内供・阿闍梨(あじゃり)を有職(正三綱)というようになって以来,従来の三綱を権(ごん)三綱という。また別当座主などの下ではこれに属する役職。
→関連項目上座所司(仏教)

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精選版 日本国語大辞典「三綱」の解説

さん‐ごう ‥ガウ【三綱】

〘名〙 仏語。寺院中の僧侶を統率し、寺務をつかさどる三人の役僧。上座・寺主・都維那(ついな)の称。上座は、衆徒の上に座して法事などをつかさどり、寺主は堂宇の造営管理にあたり、都維那は衆僧に法義を示し、日常の諸事を指揮する。また、寺主・知事・維那(いのう)をいう場合、上座・維那・典座(てんぞ)をいう場合とがある。
※令義解(718)僧尼「凡僧尼自還俗者。三綱録其貫属。〈〈略〉三綱者。上座。寺主。都維那也〉」

さん‐こう ‥カウ【三綱】

〘名〙 儒教で、人間の重んずべき君臣父子・夫婦の三つの道をいう。多く「三綱五常」と熟して用いる。→五常
万葉(8C後)五・八〇〇・題詞「未修行得道之聖、盖是亡命山沢之民、所以指示三綱更開五教、遺之以歌令其或」 〔白虎通‐三綱六紀

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旺文社日本史事典 三訂版「三綱」の解説

三綱
さんごう

古代,寺の諸事を統率する上座・寺主・都維那 (ついな) の3種の役僧の総称
寺内の僧侶を統轄し,寺務を処理し,寺の統治者であったが,のちに別当・座主 (ざす) などが寺の最高の地位につくと,その下に属する役僧の名称となった。

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デジタル大辞泉「三綱」の解説

さん‐ごう〔‐ガウ〕【三綱】

寺内の管理・統制に当たる3種の役僧。上座寺主維那いななどをいう。

さん‐こう〔‐カウ〕【三綱】

儒教で、君臣・父子・夫婦の踏み行うべき道。「三綱五常」

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世界大百科事典 第2版「三綱」の解説

さんこう【三綱 sān gāng】

君臣,父子,夫婦の道をいう。中国では,人間社会の上下の秩序を定め,人としての道を整える根本と考えられ,長いあいだかなりの規制力をもった。君臣等の関係を三綱と呼んだのは,前中ごろの作である《春秋繁露(しゆんじゆうばんろ)》の〈基義〉篇が最初である。そこでは陰陽説によって,それぞれの関係が相互的なものとして把握されている。さらにまとまった形で記述されるのは,後漢の《白虎通(びやつこつう)》の〈三綱六紀篇〉においてである。

さんごう【三綱】

寺内の僧尼を統轄し,庶務を処理する僧職。上座(じようざ),寺主(じしゆ∥てらじゆ),都維那(つゆいな∥ついな)(維那)の3者で,所司ともいう。すでにインドや中国南北朝で寺院の統轄者として,上座または寺主,もしくは都維那が置かれた。各寺院に一律に3者が置かれたのは唐代からで,《唐六典(とうりくてん)》に〈寺ごとに上座1人,寺主1人,都維那1人,ともに衆事を綱統す〉とある。日本でも7世紀中葉に一部の寺院に〈寺主〉の名が見えるが,8世紀には唐制にならって各寺院に三綱が置かれた。

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普及版 字通「三綱」の解説

【三綱】さんこう(かう)

人倫・秩序の基本。〔白虎通、三綱六紀〕三綱とは何の謂(いひ)ぞや。君臣・子・夫を謂ふなり。

字通「三」の項目を見る

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世界大百科事典内の三綱の言及

【寺院】より

…また特定の大寺には勅額を下賜して保護を加える一方,無額寺院は不法の建造物として廃毀されることが多かった。 寺内の衆僧を統べ寺務を執る役僧に上座,寺主,維那の三綱があり,ともに寺僧の推薦によって選ばれた。寺院には僧のほかに,まだ得度していない童行,清掃や耕作などに従事する寺奴婢,寺戸がいた。…

【所司】より

…特定の官司の官人を指した用語ではない。(2)寺院の寺官である三綱(さんごう)(上座(じようざ),寺主(じしゆ),都維那(ついな))のこと。三綱の下に組織された専当(せんとう),中綱(ちゆうごう)などを下所司という。…

※「三綱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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