朝日日本歴史人物事典 「寂円」の解説
寂円
生年:開禧3(1207)
鎌倉時代に道元を慕って来日した曹洞宗の禅僧。江戸時代の史料が法諱を智深とするのは誤り。南宋洛陽(杭州か)の人。明州(浙江省)天童山に出家し,さらに長翁如浄に随侍した。その間,入宋した道元と知り合い,如浄の示寂した翌年,安貞2(1228)年に来日した。京都深草の興聖寺や越前(福井県)の永平寺で道元に参学し,如浄の塔所承陽庵の塔主を勤めた。道元亡きあと,その弟子孤雲懐奘の印可を受け,豪族伊志良氏の帰依で越前大野に薦福山宝慶寺を開創した。門流(寂円派)は法嗣の義雲ののち,江戸初期まで永平寺の住職を独占した。<参考文献>永平寺傘松会編『義雲禅師研究』,佐藤秀孝「宝慶寺寂円禅師について」(『曹洞宗研究紀要』18号)
(佐藤秀孝)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報