富籤罪(読み)とみくじざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「富籤罪」の意味・わかりやすい解説

富籤罪
とみくじざい

富籤の発売、富籤発売の取次ぎ、富籤の授受を処罰する罪(刑法187条)。本罪は、賭博(とばく)罪と同様に、怠惰浪費の弊風から、健全な労働を保護しようとする風俗犯一種である。富籤とは、一定の番号や記号を印した証票(札)を発売し、抽籤(ちゅうせん)その他偶然的方法(くじ)により当選者を決定して、この者にあらかじめ定められた金銭等の利益を分配することをいう。たとえば、個人がかってにいわゆる「宝籤」を発行するような場合が、本罪の典型である。富籤とは、当選者のみが利益を得、非当選者は拠出した財物の全部または一部の損失を被るものをいい、いわゆる「福引」のように非当選者が拠出した財物を失わない場合は富籤にはあたらない。刑罰としては、「富くじを発売した者は、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金」、「発売の取次ぎをした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、また「富くじを授受した者は、20万円以下の罰金又は科料」に処せられる。なお、公営ギャンブル、たとえば競馬における馬券の発行などは本罪にあたるが、競馬法などの特別法により法認されている。

[名和鐵郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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