くじ引きによって品物を人々に分け与えること。歴史的には、奈良時代聖武(しょうむ)天皇の天平(てんぴょう)2年(730)正月、座興として、仁・義・礼・智・信の一文字を書いた短冊を引かせ、その文字によって綿布などを賜ったのが記録に残る最初のものといわれる。また2人が向き合って餅(もち)を引き合い、取り分の多少によってその年の吉凶を占う、主として正月の縁起遊びであった。江戸時代になると、宝引(ほうび)きという名で、数本の縄の先に景品を結び、それを引き当てる正月の子供の遊びが路上で行われた。この形が、現在の商店での客寄せのための福引に発展したといえる。その後は正月に限らず目的に応じて行われ、宴会の余興には見立て、籤取(くじとり)、茶番福引などさまざまなくふうが凝らされた。
[稲垣史生]
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