改訂新版 世界大百科事典 「小代氏」の意味・わかりやすい解説
小代氏 (しょうだいうじ)
武蔵国小代(勝代)郷(現,埼玉県東松山市)を本領とする中世の武家。伝えられる系図によれば武蔵七党児玉党の流れをくむ遠弘が小代氏の祖である。遠弘の子行平は源頼朝に仕えて,本領のほか越後国中河保,安芸国見布乃荘等の地頭職を与えられ,鎌倉御家人小代氏の基礎を築いた。1247年(宝治1)重俊のとき,宝治合戦の勲功賞として肥後国野原荘の地頭職を与えられたが,71年(文永8)幕府の指令により,モンゴル来襲に対する防備と領内の悪党鎮圧のため,重俊の子息等は肥後に下ってそのまま土着した。南北朝の動乱期,菊池氏をはじめとする南朝勢力との合戦で勲功をあげて所領を拡大し,室町中期以降に九州の有力守護大名である大友氏に属したが,その後の在地情勢の変化に順応して竜造寺氏,島津氏,豊臣氏と主を転じ,さらに加藤清正に仕えたが,加藤家改易にともなって一時浪居した。寛永年中(1624-44)細川氏に仕えた。
執筆者:外岡 慎一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報