日本大百科全書(ニッポニカ) 「小地区の物語」の意味・わかりやすい解説 小地区の物語しょうちくのものがたりMalostranské povídky チェコスロバキアの作家ヤン・ネルダの短編小説集。1878年刊。詩人ネルダの書いた最高の散文といわれ、チェコ文学史上の珠玉の一編。この短編はネルダの生まれたプラハの下町――小地区を舞台にしており、この地区に住む小市民の生活を冷静な目で眺めて皮肉な筆致で描き出している。なかでも「こじきを破滅させる話」「ドクトル・カジスビエト」「静かな家の一週間」などは傑作といわれ、このなかのいくつかには邦訳がある。なお、この名作を読んで感銘を受け、ネルダの名前をペンネームにしたのがチリのノーベル賞作家パブロ・ネルーダである。[千野栄一] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例