改訂新版 世界大百科事典 「小眼球」の意味・わかりやすい解説
小眼球 (しょうがんきゅう)
microphthalmia
眼球の先天異常で眼球が小さい状態。眼球は成人で直径24mm,角膜の直径11mmがふつうであるが,その2/3程度以下を小眼球という。眼球の発生が途中で停止したものと考えられ,虹彩,毛様体および脈絡膜の一部が欠損していることが多く,これをブドウ膜欠損という。原因は遺伝性のものが多く,遺伝形式としては常染色体優性および劣性遺伝が考えられている。また,胎生5~6週の時期でのウイルスの胎内感染などによっても小眼球になることがある。眼球が小さく,ブドウ膜欠損を伴う場合,視力は障害され,脈絡膜が欠損している範囲の視野が欠ける。視力は,小眼球の程度によって異なるが,0.1前後のものが多く,眼振も伴う。先天異常であるから特別な治療法はないが,視力障害は進行しない。ただし,網膜剝離(はくり)や白内障などの合併症に注意し,早期に発見して治療をすることが必要である。
執筆者:久保田 伸枝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報