出羽国秋田郡の佐竹氏(秋田藩)の城下町。現在の秋田市。1602年(慶長7)佐竹氏は常陸から秋田の地に転封を命ぜられ,入国当初はこの地の前領主秋田氏の居城であった湊城(土崎)に入ったが,翌年神明山に新たに築城を命じ,翌04年移転し,この新城を久保田城と称した。城は天守閣がなく,石垣もなく,土塁だけのつくりであった。築城と前後して町割りも開始され,城の西側をほぼ南北に流れる旭川の東側を内町(うちまち)(侍町)とし,城の周囲には一門や大身の屋敷が設定され,次に上士,中士から足軽町と設定されていった。外町(とまち)(町人町)は旭川の西側につくられた。町割りの年代は明らかでないが,内町と平行して,まず大町各丁や通町といった後の町の中核となる部分がつくられ,その西側に南北に寺町が設けられた。
町並みの間口は1軒当り前4間で,奥行きは大町が25間,他町は20間で割り付けられたようである。道幅は最初どのくらいかはっきりしないが,74年(延宝2)に火災の経験から外町は幅5間,小路は3間と定めている。町人は常陸から移ってきた者のほか,領主の命により土崎湊から強制的に移された者もあった。外町は町奉行の支配下におかれ,その下に各町に庄屋,丁代(ちようだい)がおかれ実務を担当した。久保田の外町は幕末にいたるまで一貫して領内市場の中心として重要な役割を果たした。そのため領主のきびしい統制下におかれたが,反面外町商人の交易における特権的地位を保障することともなった。近世中期以降,領内市場が整備され,在町や農村市場は発展するにつれて特権を保持する城下商人としばしば利害の対立紛争をひきおこしたが,領主はつねに城下商人に有利な決定を行った。久保田町人は領内では最も富裕な層が多かったために,しばしば御用金の上納を命じられたりもした。町方の通常の地代負担はなく,津軽藩主の通行,役人の往来などの夫伝馬役は,茶町,大町の6町で負担し,その他の費用・人足などは惣町の負担が原則であった。外町の戸数は1788年(天明8)2294軒,長屋・借屋928軒で,人口は凶作などの変動を除けば1万2000人前後とみられる。内町の詳細は不明である。寺は1663年(寛文3)43ヵ寺であった。
1871年(明治4)城下の称を久保田町から秋田町と改めた。当時の全人口3万7900人。72年秋田県は城の本丸を一時庁舎として開庁した。80年本丸が全焼した。78年郡制実施により南秋田郡に属し,郡役所が西根小屋町におかれた。89年市町村制の実施により秋田市となった。
執筆者:松淵 真洲雄
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佐賀県中南部、佐賀郡にあった旧町名(久保田町(ちょう))。現在は佐賀市の南西部を占める地域。有明(ありあけ)海奥部に臨み、嘉瀬(かせ)川が地域の東端を流れる。旧久保田町は1967年(昭和42)町制施行。2007年(平成19)川副(かわそえ)、東与賀(ひがしよか)の2町とともに佐賀市に編入。北端のJR久保田駅は長崎本線と唐津線(からつせん)の分岐点で、小城(おぎ)市三日月(みかづき)町域にまたがる。国道は207号と444号が北と南を走る。久保田の名称は戦国時代にみえる窪田(くぼた)などの地名に由来。山のない低地で、米作やノリ養殖などが行われる。近年はイチゴやトマトなどの施設園芸も盛ん。地域のほぼ南半は中世以降の干拓地。北部の八筋堀(やすじぼり)などの堀割は、かつては半切(はんぎり)(浅いたらい状の桶(おけ))に乗ってのヒシの実とり、堀干しフナとりなど、秋の代表的風物詩を繰り広げたが、いまや圃場(ほじょう)整備事業で姿を一変した。近世、久保田邑(ゆう)は佐賀藩鍋島(なべしま)家の親類村田家の知行(ちぎょう)地で、その邑学思斉(しせい)館の思斉の名は今日も小・中学校名として残る。久保田駅近くには藁(わら)加工に出発した板紙工場がある。伝統芸能の面浮立(めんぶりゅう)を伝承。
[川崎 茂]
『『久保田町史』(1971・久保田町)』▽『『久保田町史』上・下巻(2002・久保田町)』
秋田市千秋(せんしゅう)公園一帯を称し、1604年(慶長9)佐竹氏が久保田城を築いた地。佐竹領は地名により久保田藩(秋田藩)といった。千秋公園内の佐竹史料館で藩政時代の資料などを展示している。
[編集部]
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