小谷木河岸(読み)こやぎかし

日本歴史地名大系 「小谷木河岸」の解説

小谷木河岸
こやぎかし

[現在地名]水沢市羽田町

中袋なかぶくろにあった北上川の河湊。田茂山たもやま舟場ともいい、対岸すぎどうとを結ぶ渡船場でもあった。黒石くろいし河岸、下河原しもかわら河岸(現江刺市)とともに江刺郡北上川沿いの要湊で、江刺郡南部の村々を背景に対岸の安土呂井あとろい河岸とともに交易の発達に貢献した。寛永年間(一六二四―四四)米・大豆の一般商人の通行舟より十分の一の関税を取立てる御役場が当河岸に置かれた(宮城県永沼文書)。「田茂山村安永風土記」によれば、係留された舟は御穀(一八〇石積)一〇艘・大刈子舟一八艘・刈子舟三艘の計三一艘。文久年間(一八六一―六四)から明治初年にわたり、磐井いわい文久ぶんきゆう鉄山(現東磐井郡大東町)から産出する荒鉄および鍬などの鍛造品がここから鉄山専用御用船によって石巻へ運ばれていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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