精選版 日本国語大辞典 「火鉢」の意味・読み・例文・類語
ひ‐ばち【火鉢】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
暖房具の一種。灰を入れ、中に燠(おき)、炭火(すみび)をついで手足をあぶり、室内を暖め、湯茶などを沸かすのに用いた。古くは火桶(ひおけ)、火櫃(ひびつ)といい、後世はもっぱら火鉢とよんでいる。日本では、古来、室内の採暖・暖房のために広くいろりが行われたが、平安時代の寝殿造など宮廷・邸宅の表向きでは、煙と煤(すす)を避けるため、いろりは設けなかったので、これにかわって、ありあわせの桶、櫃に土製の火容(ひいれ)を置き、これに燠などをついで暖をとった。火桶はヒノキ、スギの曲物(まげもの)に土製の火容を置いたもので、のちにキリ、ケヤキ、スギなどの丸木をくりぬき、銅製の落としを仕込んだものができた。初め木地のまま用いられたが、のち外側に漆(うるし)を塗ったり、絵を描いた絵火桶が用いられ、やがて金、銀、銅などの飾り金具を施したものも現れた。火桶・火櫃の使用期間は旧暦10月から3月までで、4月にはかたづけていた。火桶・火櫃の普及を助長したのは木炭の利用で、元来、木炭は金属精錬用の燃料であったが、これが採暖・暖房用の燃料として利用されるようになって、煙と煤のない住生活が展開されることとなった。ことに近世に入ると、都市の発達は家庭燃料を薪(たきぎ)にだけ求めるのは困難で、いきおい都市生活においては木炭を利用しなければならなくなり、ここに火鉢は広く民間に普及することとなった。火鉢の種類には、キリ・スギ・ヒノキなどの曲物や丸木をくりぬいてつくった丸火鉢、シタン・コクタンなどの堅木(かたぎ)の指物(さしもの)の角火鉢(箱火鉢)や長火鉢、銅・鉄・合金などの金属製や陶器製の丸火鉢、また小形で取っ手をつけて携帯に便利な提(さげ)火鉢などいろいろあって、和室の採暖・暖房具として欠くことのできないものとなった。煙と煤と臭気がないうえに、簡単に移動できるのが長所であるが、全身や部屋全体を暖めることは困難で、炭火による一酸化炭素の害を伴う欠点があった。なお、付属品としては、五徳(ごとく)、銅壺(どうこ)、火箸(ひばし)、灰ならしなどがある。
[宮本瑞夫]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 シナジーマーティング(株)日本文化いろは事典について 情報
…火鉢や風炉を造る工人としては,奈良の西京火鉢造座が著名である。史料上では1333年(元弘3)の《内蔵寮領等目録》に〈大和国内侍原内小南供御人〉が火鉢土器を作料田の年貢として進上しているのと,京都商人役として,奈良火鉢10個を進上しているのをみる。…
※「火鉢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新