尾崎増太郎(読み)オザキ マスタロウ

20世紀日本人名事典 「尾崎増太郎」の解説

尾崎 増太郎
オザキ マスタロウ

昭和・平成期の社会運動家 (福)心境荘苑創立者。



生年
明治33(1900)年7月1日

没年
平成5(1993)年4月4日

出生地
奈良県宇陀郡笠間村

経歴
村民の3分の2が天理教信者の村で農業に従事、布教師の伯父について大正9年布教師となり大阪天下茶屋の宣教所に属した。献納強制の教団に疑問を持ち、11年笠間宣教所の神棚を破壊し、天理教から追放され村八分となった。兄や村内9富農4戸18人も自家の神棚を壊し共同行動。14年4戸は農作業と生活を完全に共同化し、妻と歯ブラシ以外共有、入浴も集団混浴。心境に変化を来した人の集まりという意味で“心境部落”と呼ばれた。戦争中は共産主義運動として拘引、取り調べも受けた。18年には同人10人を連れ開拓移民として満州に移住。20年に帰国中、供出令違反容疑で検挙され、勾留中に敗戦。釈放され21年同人も帰国、共同体を再建し、23年畳床の製造を開始、心境農産を設立、日本一の生産高に達した。29年笠間地区の区長と榛原町の町会議員に選ばれた。42年には精神障害者の福祉法人心境荘苑を開いた。資本主義社会共同生活に成功した希な事例として注目され、“日本のキブツ”“白い共産部落”とも呼ばれた。杉原良枝の「心境部落」がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

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