山雨来たらんと欲して風楼に満つ(読み)さんうきたらんとほっしてかぜろうにみつ

精選版 日本国語大辞典 の解説

さんう【山雨】 来(き)たらんと欲(ほっ)して風(かぜ)(ろう)に満(み)

(「許渾‐咸陽城東楼詩」の「渓雲初起日沈閣、山雨来風満楼」から) 山雨が降り出そうとする前にまず風が高楼に吹きつけてくる。転じて、変事の前の何となく穏やかでないさまをたとえていう。

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故事成語を知る辞典 の解説

山雨来たらんと欲して風楼に満つ

今にも大事件が起こりそうな、穏やかでない雰囲気が立ちこめている状態のたとえ。

[使用例] 縁の上下に、源十郎と左膳、さぐるがごとき眼を見合ってしばし無言がつづいた。山雨まさに到らんとして、風楼に満つ[林不忘*丹下左膳|1927~28]

[由来] 八~九世紀、唐王朝の時代の中国の詩人きょこんの詩の一節から。その詩は、かつてのしん王朝の都、かんよう(現在のせん西せい省内)で、滅び去った王朝の歴史に思いを馳せながら作ったもの。ただ、当時は唐王朝が衰退していく時期にあたり、「山雨来たらんと欲して風楼に満つ(山の方から、今にも降り出しそうな雨の気配をはらんだ風が、物見やぐらに吹きつけてきた)」というこの一句には、唐王朝の将来を心配する気持ちが投影されている、と言われています。

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