岩屋の草子(読み)いわやのそうし

日本大百科全書(ニッポニカ)「岩屋の草子」の解説

岩屋の草子
いわやのそうし

室町期の物語。作者不詳。継子(ままこ)物恋愛譚(たん)で『対(たい)の屋姫(やひめ)』とも称す。清和(せいわ)天皇のころ、堀河中納言(ちゅうなごん)の先妻の姫が四位少将と結婚するが、後妻の奸策(かんさく)で海中の岩に置き去りにされ、四位少将は出家遁世(とんせい)してしまう。明石(あかし)の海士(あま)夫婦に助けられた姫は、二位中将にみいだされて都に伴われ、中将の母や姉妹の翻弄(ほんろう)にもめげず妻となる。姫はわが子の袴着(はかまぎ)の縁で父に再会でき、父は後妻を離縁、後妻は狂死する。『風葉和歌集』に歌が残る散佚(さんいつ)物語『いはや』の改作か否かで論争がある。『ふせやの物語』『秋月物語』『美人くらべ』などと近似する当時流行の作品。

[秋谷 治]

『松本隆信編『新潮日本古典集成 御伽草子集』(1980・新潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

巡視船

海上保安庁に所属し海上の警備と救難業務を行なう船。外洋で行動する大型で航洋性があるものを巡視船といい,港内や湾内などのかぎられた水域で行動する 100総t程度以下の小型のものを巡視艇と呼ぶ。武器として...

巡視船の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android