海士(読み)カイシ

デジタル大辞泉 「海士」の意味・読み・例文・類語

かい‐し【海士】

海上自衛官の階級の一。海曹の下で、海士長、一、二等海士の階級に分かれる。諸外国海軍および旧日本海軍の水兵長上等一等二等水兵に相当する。

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精選版 日本国語大辞典 「海士」の意味・読み・例文・類語

かい‐し【海士】

  1. 〘 名詞 〙 海上自衛隊における自衛官の階級の一つ。海曹の下位。海士長、一、二、三等の階級に分かれる。
    1. [初出の実例]「海上自衛隊の自衛官の階級は〈略〉海士長、一等海士、二等海士及び三等海士とする」(出典:自衛隊法(1954)三二条)

おとこ‐あまをとこ‥【海士】

  1. 〘 名詞 〙 主として潜水して海藻や貝類を採取する漁民。海人(あま)は本来、男女を区別しない語であるが、海女に限って「あま」と呼ぶことが一般的なため、特に海女に対して男の「あま」をいう。

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日本歴史地名大系 「海士」の解説

海士
あま

現海士町の全体を領域とする国衙領古代と同様、なかノ島全域が中世の海士郡で、その全体が一つの所領を構成した。海部とも記す。元応三年(一三二一)八月一八日の僧観栄譲状および同年一〇月の島前海士公文田所并屋敷分日記(ともに村上家文書、以下断りのない限り同文書)によると、当時の村上氏は屋敷地のあるもり地域を中心に中ノ島全体のほぼ三分の二を占める東分ひがしぶ・北分・西分の各地に分布する、屋敷分とよばれる合計二町六段余の田地と五二筆五八ヵ所の畠地、および海士(または海士郡)の公文・田所両職を所有していた。当時海士郡は東分・西分・北分・南分に分れ、村上氏はそのうちの東分・西分・北分の接点に位置する森地域に拠点を構え、これら三地域を屋敷地に準ずる一種直轄地として支配し、そうした実力を背景に海士郡の公文・田所両職を兼帯した。僧観栄譲状などにみる地名の分布から推定すると、北分は現在の北分・宇受賀うつか地域、東分は豊田とよだ・東分地域、西分は中里なかざと知々井ちちい・西分・福井ふくい地域、そして南分は御波みなみ(一部は西分のうち)多井おおいさき地域に比定できる。こうした支配構造がどのように形成されたかは明らかでないが、田所義綱に隠岐国の船所沙汰を認めた宝治二年(一二四八)四月二五日の佐々木泰清袖判下文が村上氏の祖先にかかわるものとすれば、守護佐々木氏が海士郡の地頭職を掌握するなかで、隠岐国の田所・船所両職を兼帯する有力在庁官人村上氏が、その有利な政治的地位を踏まえて新しく海士郡の公文・田所両職を獲得し、承久三年(一二二一)頃までに森地域に拠点を定め、支配体制を構築したのではないかと推定される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海士」の意味・わかりやすい解説

海士(町)
あま

島根県の隠岐(おき)諸島島前(どうぜん)、隠岐郡の町。中ノ島1島からなる。1969年(昭和44)町制施行。古代海部(あま)郡。地名は海洋漁猟民の海士に由来する。北西部の内海に面した平坦(へいたん)地に菱浦港(ひしうらこう)があり、鳥取県境港(さかいみなと)、松江市の七類(しちるい)港との間に定期航路がある。小野篁(おののたかむら)、後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)の配流の地で、明治初年徹底した廃仏毀釈(きしゃく)が行われた。後鳥羽上皇に関する資料は海士町後鳥羽院資料館で展示されている。半農半漁の町。菱浦港から観光用半潜水型展望船が就航する。菱浦港付近のクロキヅタ産地は国の天然記念物。面積33.44平方キロメートル、人口2267(2020)。

[江村幹雄]

『『海士町史』(1974・海士町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「海士」の意味・わかりやすい解説

海士[町] (あま)

島根県隠岐郡,隠岐諸島のうち島前(どうぜん)東部の中ノ島を中心とする半農半漁の町。人口2374(2010)。境港,七類港とフェリーや高速船で結ばれる。農業は米作のほか,ミカン栽培,肉用牛の飼育が主体。漁業は近海漁業が中心で,スルメイカの漁獲が多い。屈曲に富む海岸線は風光に優れ,大山隠岐国立公園に指定されている。古くは遠流の地で,後鳥羽上皇行在所跡や御火葬塚があり,流人哀話が数多く残る。
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百科事典マイペディア 「海士」の意味・わかりやすい解説

海士[町]【あま】

島根県隠岐(おき)諸島中の中ノ島を占める隠岐郡の町。養蚕,牧畜,イカ,タイなどの漁業を行う。後鳥羽上皇行在所跡があり,大部分大山(だいせん)隠岐国立公園に属する。33.43km2。2374人(2010)。

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普及版 字通 「海士」の読み・字形・画数・意味

【海士】かいし

あま。

字通「海」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の海士の言及

【海人】より

…古文献に海人,海部,蜑,白水郎などと記す。海を主なる生業の舞台とし,河川,湖沼で素潜(すもぐ)りする漁民をはじめ,釣漁,網漁,塩焼き,水上輸送・航海にたずさわる人々を,今日いう男あま(海士),女あま(海女)の区別なく〈あま〉と総称する。
[系統と分布]
 日本民族の形成過程のなかで,かなり明瞭にあとづけられるのは南方系であり,インド・チャイニーズ系とインドネシア系に大別されよう。…

【潜水漁業】より

…海中に潜って操業する漁業の意で,日本にはアマあるいはカヅキとよばれる伝統的な漁民がいる。アマには,男である海士と女である海女がいるが,かつては男女とも腰巻やふんどしなど,わずかな布を身につけただけの裸同様の姿で海に潜り,テングサ,ワカメ,コンブなどの海藻や,アワビ,サザエ,ウニなどの貝類などを,イソガネやカマなどの爬具を用いて採った。男アマである海士は,このほか,〈もり〉や〈やす〉などを使った魚の潜り突きを行うことも多かった。…

※「海士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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