いけ花流派。古くは嵯峨御所華道といい、嵯峨天皇の離宮京都・大覚寺(だいかくじ)の花道。後宇多(ごうだ)上皇の時代「永宣旨(えいせんじ)」が制定され、民間技芸者に法橋(ほっきょう)、法眼(ほうげん)、検校(けんぎょう)などの称号が与えられ、いけ花技能者にも及び、そのなかから江戸期御所の花務をつかさどった未生斎一甫(みしょうさいいっぽ)や広甫(こうほ)らによっていけ花の「未生御流」が開かれ、さらに明治以後に新様式の瓶花(へいか)、盛り花を加えて「嵯峨流」とよび、今日ではこれに荘厳華(しょうごんか)とよばれる儀式花を加えて「嵯峨御流」とよんでいる。家元とよばれる制度はなく、その総元締となるところを「華道総司所」とよび、大覚寺門跡(もんぜき)が華道総裁となる。現在海外を含め130の司所があり、講師派遣制をとって流の運営を行っている。
[北條明直]
…寺宝には,後宇多天皇宸翰(しんかん)の〈御手印遺告(ゆいごう)〉と《弘法大師伝》(以上国宝)をはじめとして,同天皇の宸影や歴代天皇の宸翰消息・聖教類が多数あり,多くが重要文化財に指定されている。なお,華道の濫觴といわれる〈嵯峨御流〉は,大覚寺に伝えられたもので,今日全国に多くの門弟があって,この伝統の流派の普及につとめている。【藤井 学】。…
※「嵯峨御流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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