日本大百科全書(ニッポニカ) 「川供養」の意味・わかりやすい解説
川供養
かわくよう
狭義には水死者の霊を弔う行事。日本は水の豊かな国であったから、人の交通や物資の運送に河川を利用することが多かった。その実情を背景として、神霊もまた、川上(かわかみ)から流れ寄り川下(かわしも)に流れ去るとも考えていた。昔話の「桃太郎」の桃が川上から流れ着くのは、川上に他界(神霊の世界)を想定していたからである。盆の精霊(しょうりょう)流しや灯籠(とうろう)流しを川で行うのは、川下から海の彼方(かなた)にある他界へ先祖の霊を送ろうとする趣旨に基づく。中世に御霊(ごりょう)信仰が盛んになってくると、水霊が災厄をもたらすものとして川祭りが盛んになり、仏教と結び付いて水死者の霊を弔う行事となった。
[井之口章次]
[参照項目] |