日本大百科全書(ニッポニカ) 「巣元方」の意味・わかりやすい解説
巣元方
そうげんほう
生没年不詳。中国、隋(ずい)・唐代の医家。中国医学の古典『諸病源候論(しょびょうげんこうろん)』(610)の撰者(せんじゃ)とされ、中国医学史上、病因証候学の大家とされる。正史に伝記がなく詳細は不明であるが、唯一の記録は『開河記』(唐の韓偓(かんあく)の撰)に「開河都護大総管麻叔謀(ましゅくぼう)が風逆を患って起座できなくなったので、隋の煬帝(ようだい)が太医令巣元方に往診させた」とある。『諸病源候論』50巻は67門に分け、症候1700余条をあげ、病源・病状について書いているが、処置・薬方は載せていない。
[山本徳子]
『岡西為人著『中国医書本草考』(1974・南大阪印刷センター)』