日本大百科全書(ニッポニカ) 「巣症状」の意味・わかりやすい解説 巣症状そうしょうじょうfocal sign 脳の限局した一部の破壊によって現れる症状で、病巣症状ともいう。大脳皮質には、運動・感覚・聴覚・視覚・言語など種々の中枢があり、各局所の機能が分化している。したがって、脳のある場所に病巣があると、その場所が刺激されてその局所の機能が亢進(こうしん)したり、破壊されて局所の機能が脱落したりして、それぞれ対応する一定の症状が現れる。これが巣症状であり、このような巣症状から逆に病巣のある場所を推定することができる。いろいろな病変のうち、巣症状がもっとも明瞭(めいりょう)に出るのは血管障害で、出にくいのは炎症や腫瘍(しゅよう)である。[海老原進一郎] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by
世界大百科事典(旧版)内の巣症状の言及 【痴呆】より …また,癲癇性痴呆の場合は,知能面の低下は軽いが性格や人格の変化が目立つもので,これも急速な知能低下ではない。失語症,失行症,失認症など部分的な脳障害による巣(そう)症状focal symptonはいちおう痴呆とは区別される。また,一時的に過去の記憶を失ってしまう逆向健忘も痴呆とは異なる。… ※「巣症状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。 出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」 Sponserd by