国指定史跡ガイド 「左沢楯山城跡」の解説
あてらざわたてやまじょうあと【左沢楯山城跡】
山形県西村山郡大江町左沢にある城跡。寒河江(さがえ)荘の地頭職を相伝した大江氏の一族である左沢氏によって構築された。左沢の地は最上川の流路の転換点であるなど、付近の交通の要衝だった。城域は東西480m、南北520m、八幡座と呼ばれる標高222mの小規模な曲輪(くるわ)を最頂部とする。天正年間(1573~92年)に最上氏によって攻略され、最上氏の直轄地となり、1622年(元和8)、最上氏が改易となった後、酒井氏が新たに小漆川城を築城したことにともなって廃城された。発掘調査の結果、15世紀後半から17世紀前葉に存続したことが確認された。2009年(平成21)、国指定史跡となった。掘立柱建物や池状遺構、段状の曲輪や切り岸、堀切りが残り、自然の沢も取り込んで城域が構築されている。遺物から、中国産・朝鮮半島産の貿易陶磁も出土した。左沢氏とその一族、伊達氏、最上氏らとの抗争を軸に展開した村山地方の中世から近世にいたる動向を、この遺跡から探ることができる。現在は、楯山公園として整備されている。JR左沢線左沢駅から徒歩約30分。