左音寺跡(読み)さおんじあと

日本歴史地名大系 「左音寺跡」の解説

左音寺跡
さおんじあと

[現在地名]御所市大字楢原

楢原ならばら集落の西方、約二キロの葛城かつらぎ山中腹にあった古代寺院で、左音寺の小字を残す。奈良時代近くさかのぼりうる古瓦が出土する。創建沿革などはつまびらかでない。現在は杉の植林が行われているため、伽藍の規模・配置ははっきりしない。天明四年(一七八四)の楢原村村鏡写(中野家蔵)に「塔石 左音寺之塔也、今極楽寺境内ニ有之正応元年戊子トミユル、天明四辰年凡四百九十三年ニ成ル、正長元年戊申ハ三百五十四年ニ成ル」とあり、左音寺の塔と伝える正応元年(一二八八)・正長元年(一四二八)造立の石塔二基が、極楽ごくらく寺に存在したことも知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報