日本大百科全書(ニッポニカ) 「巨大染色体」の意味・わかりやすい解説
巨大染色体
きょだいせんしょくたい
giant chromosome
細胞の核内分裂を繰り返すことによってとくに大きく発達した染色体。染色体が核分裂をしないで、休止期の状態で核内分裂を繰り返し、それが分離しないで横に連なるため、長さ約100~300マイクロメートル、直径約15~25マイクロメートルの長大な染色体となる。個々の染色体はファイバー状になり、染色粒(クロモメアー)が同一場所に横軸に連なって存在するので、その部分ではバンド状となって現れる。これらバンドの模様の個々の染色体が識別できるとともに、これは染色体地図の作成に役だつ。遺伝子の発現と関係してバンドの部分に特別な構造が現れるが、これをパフまたはバルビアニー環などとよぶ。ショウジョウバエの唾液腺(だえきせん)染色体(または唾腺染色体)は巨大染色体の代表的な例である。
[吉田俊秀]