差当てる(読み)サシアテル

デジタル大辞泉 「差当てる」の意味・読み・例文・類語

さし‐あ・てる【差(し)当てる】

[動タ下一][文]さしあ・つ[タ下二]
直接に物に接触させる。じかに押し当てる。「額に手を―・てる」
その事に当たらせる。
宿直とのゐに―・てなどしつつ」〈浮舟
ねらいをつける。
持経者の腹に―・てて射るに」〈今昔・一七・四〇〉
あるものと、ひき比べる。
「隣の事を身に―・て」〈咄・露がはなし・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「差当てる」の意味・読み・例文・類語

さし‐あ・てる【差当】

  1. 〘 他動詞 タ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]さしあ・つ 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙 ( 「さし」は接頭語 )
  2. 直接にあてる。押しあてる。
    1. [初出の実例]「壁の中のきりぎりすだに、間遠に聞きならひ給へる御耳に、さしあてたるやうに、鳴き乱るるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  3. 命じて、その事にあたらせる。命じて、任務にあたらせる。
    1. [初出の実例]「見つけ給ふ所に、重役にさしあて給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
  4. ねらいをつける。めざしてそれと決める。
    1. [初出の実例]「弓を取て箭(や)を番(つがひ)て強く引て、持経者の腹に差充てて射るに」(出典今昔物語集(1120頃か)一七)
  5. ある物と置き換えてみる。ひきくらべる。
    1. [初出の実例]「此女房もとなりの事を身にさしあて、もらひ腹を立」(出典:咄本・軽口露がはなし(1691)四)

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