デジタル大辞泉
「宿直」の意味・読み・例文・類語
との‐い〔‐ゐ〕【宿=直】
《「殿居」の意》
1 宮廷や役所に泊まって勤務し、警備守護などをすること。
「彼の宮に詣でて―に侍らむとす」〈皇極紀〉
2 夜間、貴人のそばに侍して不寝番をすること。
「御前に人あまたさぶらへ。新中納言など、―にはなどさぶらはれぬ」〈夜の寝覚・四〉
3 貴人の寝所に女性が奉仕すること。夜伽。
「女御御息所の御―絶えたり」〈栄花・月の宴〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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との‐い‥ゐ【宿直】
- 〘 名詞 〙 ( 「殿居」の意で、宮中などにいること )
- ① 内裏や宮司に事務をとったり警護するために宿泊すること。令制では内舎人は帯刀して宿衛し、大舎人、中宮舎人、東宮舎人もまた分番して、それぞれ天皇、中宮、東宮の警衛をするため宿直した。平安時代には大臣、納言、蔵人頭、近衛大将などの高官も宿直した。
- [初出の実例]「故彼の宮に詣(まう)でて宿(トノヰ)に侍(はへ)らむと将(す)」(出典:日本書紀(720)皇極三年正月(図書寮本訓))
- ② 夜間、貴人の身近にあって守護すること。不寝番。
- [初出の実例]「新中納言など、殿ゐには、など、さぶらはれぬ」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)四)
- ③ 天皇の寝所で女性が近侍すること。夜とぎすること。
- [初出の実例]「御方々の御とのゐなども、たえてし給はず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
宿直の補助注記
令制における宿直は「夜仕曰レ宿、昼仕曰レ直」〔令集解‐職員〕とあって、宿と直が区別されているが、一般に「とのゐ」(「殿居」とも書く)という場合は、夜の勤務をのみさしているようである。
しゅく‐ちょく【宿直】
- 〘 名詞 〙 そこに勤務する人が交替で宿泊して夜の番に当たること。また、その人。とのい。
- [初出の実例]「自今以後、恪勤不二怠緩一、昼奉二仕行事一、夜宿直侍」(出典:正倉院文書‐宝亀二年(771)閏三月九日・中室浄人解)
- 「これは宿直に当りて、猟の事ありしを、出て観(み)し事によりてなり」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)上)
- [その他の文献]〔南斉書‐周顒伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「宿直」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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宿直
とのい
番を決めて官司や内裏に伺候すること。夜間を宿,日中を直というが,夜のみをさして宿直とよぶことも多い。大宝令に内外諸司の宿直制が規定され,弁官が名簿によってこれを把握した。一方,内裏では衛府官人や舎人(とねり)の宿衛が古くから行われていたが,8世紀後半に創始された次侍従(じじじゅう)の制,9世紀初期にうまれた昇殿の制などは,番こそ作らないものの宿侍者を大幅に拡大し,新たな官人統制の手段となった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の宿直の言及
【番】より
…技術をもって仕えた品部・雑戸にも分番が多く,808年(大同3)の〈格〉によると,内匠寮の工人のうち長上は20人で従八位の官に準じ,番上は100人で白丁が主であった。なお公式令によると,大臣以上と諸省の卿を除く長上の官人も,本司に分番して宿直(とのい)(宿直と日直)することを義務づけられているが,平安時代の記録類によると内裏や院御所では公卿・殿上人などの当番宿直が行われ,これには6日ごとの勤番と5日連続の勤番が多い。中世に整備されて近世にも存続する禁裏小番は,10番の事例もあるが5,6番が多く,《言経卿記》によると,5番制の内々小番と6番制の小番とがあって,武士と武官・弁官を除く大納言以下の公卿・殿上人は,散位をも含めて原則としていずれかの番に編入されている。…
※「宿直」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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