差詰・鎖詰(読み)さしつむ

精選版 日本国語大辞典 「差詰・鎖詰」の意味・読み・例文・類語

さし‐つ・む【差詰・鎖詰】

[1] 〘自マ下二〙
① (「さし」は接頭語) せっぱつまった状態になる。さしせまる。思案にこまる。
愚管抄(1220)四「この御返事を大神宮の仰と思候はんずるなりと、さしつめて仰せられたりけるたび」
② 矢を次々につがえる。やつぎばやに矢をつがえる。
太平記(14C後)一「鎧の袖、草摺、冑鉢とも言はず、指詰(サシツメ)て思様に射けるに」
③ 気絶する。
※滑稽本・魂胆夢輔譚(1844‐47)三「此男は気の狭い性ぶんゆゑ〈略〉伯母の便を聞ぬと申してさし詰(ツメ)ました」
[2] 〘他マ下二〙
① (「さし」は接頭語) 動きがとれないように追いつめる。
曾我物語(南北朝頃)一「くまんとのみにて、さしつめむすべば、すててぬけ」
② (「さし」は接頭語) 決めつける。結論づける。
※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)一「君の悪をさしつめて云へばわるいほどに」
③ (「さし」は接頭語) 物の中やすき間などにはめ入れる。さしこむ。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)第一六「さやにさしつめて其ままをいたで」
④ (鎖詰) 門戸や錠などをとざす。かためる。さしかためる。
※両足院本山谷抄(1500頃)三「じゃうをさしつめられて居て、出うず様もないは」
⑤ (指詰) 将棋で勝つ(日葡辞書(1603‐04))。
狂歌新撰狂歌集(17C前)下「わうに歩がさしつめられてきゃうしゃともきん銀もてるものもめいわく」
全員がある人を、ある役や仕事に指名する(日葡辞書(1603‐04))。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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