新撰狂歌集(読み)しんせんきょうかしゅう

改訂新版 世界大百科事典 「新撰狂歌集」の意味・わかりやすい解説

新撰狂歌集 (しんせんきょうかしゅう)

1633年(寛永10)ころ刊。編者版元不明。上下2冊。古今の狂歌191首(ほかに俳諧18首,古歌1首)を四季,恋,羇旅,述懐,釈教,哀傷,神祇,雑に分類編集したもの。所収作品の作者は古くは鎌倉時代の定家や暁月坊から近くは細川幽斎里村紹巴雄長老(ゆうちようろう)にまで及ぶが,作者不明のものも多く,前大上戸朝臣,宇治の茶大臣母,無銭法師のごとき狂名もすでに用いられている。落首も多く収められ,全体に線の太い笑いに満ちている。また狂歌史上最初の公刊書としての意義も大きい。なお,巻末に中院通勝が評語を加えた雄長老作《詠百首狂歌》が付録されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新撰狂歌集」の意味・わかりやすい解説

新撰狂歌集
しんせんきょうかしゅう

江戸初期の狂歌集。上下2冊。編者不明。1633年(寛永10)ごろ刊か。古今の狂歌186首(ほかに俳諧(はいかい)23句、古歌2首)を四季、恋、雑などに分類編集したもの。所収狂歌の作者は古くは定家(ていか)、俊成(しゅんぜい)、暁月坊(ぎょうげつぼう)から近くは幽斎(ゆうさい)、紹巴(じょうは)、雄長老(ゆうちょうろう)などに及ぶが、作者不明歌も多く、前大上戸朝臣(あそん)、宇治の茶大臣、無銭法師のごとき狂名も用いられている。落首も多く収められ線の太い笑いに満ち、狂歌史上最初の公刊書としての意義も大きい。巻末に雄長老作『詠百首狂歌』を付録している。

森川 昭]

『『近世文学資料類従 狂歌編5』(1978・勉誠社)』『『狂歌大観1』(1983・明治書院)』

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