差込・挿込・射込(読み)さしこむ

精選版 日本国語大辞典 「差込・挿込・射込」の意味・読み・例文・類語

さし‐こ・む【差込・挿込・射込】

[1] 〘他マ五(四)〙
① 物の中やすきまなどにはめ入れる。また、つき入れる。
平家(13C前)七「東西の山の根に水さしこうで、水海にむかへるが如し」
浮世草子・好色一代男(1682)七「名書もなき文(ふみ)ひとつ、懐(ふところ)にさし込(コミ)
② 脇から口出しする。はたから知恵をつける。入れ知恵をする。
浄瑠璃・信濃源氏木曾物語(1698頃)一「あとさき知らぬあばれ飲み、今一つ上すくなしとさしこむ者には合(あひ)をさせ」
③ 遊里で、茶屋、揚屋の方で芸娼妓などを指名して客に勧める。
※洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)三「哥妓(げいこ)のお色がいもとの小いろをさしこめば、すかさず孟八(たいこもち)が拙者(わたくし)が弟子に手ずまの上手(じゃうづ)が御座りますとさしこむ」
④ 客が芸娼妓や幇間(ほうかん)などを指名して呼ぶ。
※評判記・色道大鏡(1678)二「又つれの客とも、前方(まへかた)よりゆくをしり、約諾してあとよりさしこむには、わがあふ女郎の隙入(ひまいり)にかまはず」
[2] 〘自マ五(四)〙
① 胸や腹などが物がさし入るように烈しく痛む。きりきりとひどく痛む。癪(しゃく)をおこす。
※虎寛本狂言・胸突(室町末‐近世初)「借状程の物が鳩尾(きうび)へさし込は。アリャアリャ、痛や痛や」
② 光が入りこむ。
※俳諧・大海集(1672)秋下「さしこめば窓も湊か月のふね〈何求〉」
※水彩画家(1904)〈島崎藤村〉二「秋の日は南窓から射しこんで」
[3] 〘他マ下二〙 (一)①に同じ。
※浮世草子・西鶴織留(1694)六「お首筋から手をさしこめ、そこ爰(ここ)さはりて後」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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