揚屋(読み)あげや

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

揚屋
あげや

遊郭太夫など比較的上級遊女置屋 (遊女をかかえ,養っている家) から招いて遊興させる店のこと。置屋と揚屋が区別されるようになったのは江戸時代初頭。江戸では宝暦年間 (18世紀なかば) にすたれた。文字は同じだが揚屋 (あがりや) は江戸時代法制用語で,大名や旗本の臣,武士,僧侶など身分のある未決囚を入れたところ。 (→吉原 )  

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百科事典マイペディアの解説

揚屋【あげや】

遊女を招いて遊興させる家。江戸時代,三都(江戸・大坂・京都)では太夫(たゆう),格子(こうし)など上級遊女を招いた。遊女は格式に応じて夜具,化粧具などを携え,禿(かむろ)や下男を従えて揚屋入り(道中)した。大坂(新町)では特に揚屋制が発達。江戸では明暦の大火以後1ヵ所に集めて揚屋町を作ったが,1760年を境に滅んだ。京都島原角屋(すみや)は揚屋の貴重な遺構。→茶屋待合
→関連項目置屋遊郭(廓)

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世界大百科事典 第2版の解説

あがりや【揚屋】

江戸時代の牢屋における特別の部屋。幕府の小伝馬町牢屋では収監者を身分によって分隔拘禁したが,武士を収容するのが揚座敷(あがりざしき)と揚屋である。500石未満の御目見(おめみえ)以上直参(じきさん)の武士は揚座敷,御目見以下の直参,陪臣は揚屋に入れ,僧侶,神職も格式により揚座敷,揚屋に分けた。いずれも雑居拘禁であるが,揚座敷に比べると揚屋は食事をはじめとする処遇,牢名主の支配など,実情は庶民の牢とそれほど差異はない。

あげや【揚屋】

遊女を招いて遊興させる家。遊興の形式には,客が遊女屋へあがる形式と,別の場所へ遊女を招く形式とがあり,揚屋は後者の一例である。この制度の起源は不明だが,寛永期(1624‐44)にはすでに整備されていた。私娼(ししよう)を呼ぶ家と違い,遊郭内で費用も高い揚屋が設けられたのは,おもに上級武士客の必要に応じたもので,揚屋へあがるときは腰の物を預ける規則であった。また,遊女の出張・派遣(町売りという)を禁止したことにも関連していると考えられる。

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大辞林 第三版の解説

あげや【揚屋】

江戸時代、太夫たゆう・格子など上級の遊女を呼んで遊ぶ家。江戸では宝暦(1751~1764)頃廃れた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

揚屋
あげや

遊廓(ゆうかく)で遊女を招いて遊興させる店。遊女屋とは別に、遊興の場所のみを提供する店として揚屋が登場するのは近世初期である。遊女屋での遊興に比べて費用は高くても、優雅な待遇を求める需要に応じたものである。したがって、揚屋を利用するのは太夫(たゆう)、格子(こうし)などの高級遊女の客に限られ、中以下の遊女を招く店は茶屋、私娼(ししょう)街での類似店は呼屋(よびや)といって区別した。揚屋のある遊廓でも下級妓(ぎ)は遊女屋に客を揚げた。遊女が揚屋へ往復するときは従者を連れて行列し、これを道中と称した。花魁(おいらん)道中の原型である。江戸の新吉原では、1760年(宝暦10)ごろに揚屋が消滅し、かわりに独特な引手(ひきて)茶屋の制度が生まれた。[原島陽一]

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世界大百科事典内の揚屋の言及

【角屋】より

…京都市下京区揚屋町にある旧遊郭島原の揚屋の遺構(重要文化財)。江戸初期の1640年(寛永17)に六条三筋町の遊郭が島原に移転したときから現在地にある。…

【茶屋】より

…とくに京坂地方でこの形式が発達し,大坂の堀江,曾根崎などの遊所は茶屋株での営業であり,これを色茶屋といった。遊郭にも太夫を呼ぶ揚屋に対し,下級妓を招く茶屋(または天神茶屋)があったから,〈茶屋遊び〉といえば遊所への出入りを意味した。色茶屋の女に,茶屋女,茶立女,茶汲女,山衆(やましゆう)などいろいろな呼名が与えられたのは,類似商売の多様化を示すが,遊郭が認められない場合に茶屋として営業する例は多く,地方都市で茶屋町といえば私娼(ししよう)街のことであった。…

※「揚屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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