大学事典 「市民大学」の解説
市民大学
しみんだいがく
19世紀中葉以降,イングランド各地の地方産業都市に叢生した一群の大学をいう。いずれも当初はカレッジとして発足し,のち大学に昇格した。地方都市に高等教育の恩恵をもたらし,地元産業の要求に応えることを訴え,地元産業界の篤志家や地方自治体,多くの市民の支援を得て設立され発展した。市民大学の設立には大学拡張運動,医学校,科学技術教育運動のいずれかがその前身ないし背景としてあった。先駆けは1851年に創設されたマンチェスターのオウエンズ・カレッジ(イギリス)で,他の都市もこれに続いた。最初の市民大学は1880年に創設されたヴィクトリア連合大学(イギリス),単独で最初に大学の地位を獲得した市民大学は1900年に昇格したバーミンガム大学(イギリス)である。建物の材質から「レッドブリック大学(イギリス)(赤レンガ大学(イギリス))」大学と呼ばれることもある。現在はその多くがイギリスの研究大学の連合体であるラッセル・グループ(イギリス)に加盟している。
著者: 福石賢一
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報