市町村農業公社(読み)しちょうそんのうぎょうこうしゃ

百科事典マイペディア 「市町村農業公社」の意味・わかりやすい解説

市町村農業公社【しちょうそんのうぎょうこうしゃ】

市町村農協などが出資し,農林水産業関連の業務を行う第三セクター。事業の内容は農作業の受託,特産品の研究・開発,農産物の加工・流通・販売,森林の維持,観光など。民法公益法人,商法法人,有限会社,株式会社など多様な経営形態がある。高齢化や跡継ぎ不足などから耕作を放棄せざるをえない農家から作業を請け負い,農地を有効に利用するのがおもな目的だが,事業を通じての地域振興の役割も大きい。 農業生産には直接携わらず特産品の開発など地域振興に主眼を置くものがほとんどだったが,1992年の農地法施行令改正によって農地保有合理化法人の資格が取得できるようになり,農地管理を中心とするものが増え始めた。農林水産省の調査によると,1998年までに全国で208の市町村農業公社が設立されており,うち50%程度が農作業の受託業務を,また40%以上が農作業の受託あっせん業務を実施している。耕作放棄地の減少などに一定の成果を上げているが,約半数の公社が赤字となっており,経営の健全化が課題とされている。
→関連項目耕作放棄地

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