第三セクター(読み)ダイサンセクター

デジタル大辞泉 「第三セクター」の意味・読み・例文・類語

だいさん‐セクター【第三セクター】

国や地方公共団体(第一セクター)と民間企業(第二セクター)の共同出資によって設立される事業体。地域開発など本来は国や地方公共団体が行うべき事業を、民間の資金能力導入によって官民共同で行おうとするもの。三セク

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共同通信ニュース用語解説 「第三セクター」の解説

第三セクター

都市開発や観光振興などを目的に地方自治体が出資した法人。住宅供給、土地開発、道路の地方3公社とともに、バブル経済崩壊後、各地で経営難が表面化した。法人を廃止する場合は、金融機関からの借金の肩代わり返済などで自治体の財政負担が重くなる。このため、総務省は第三セクター等改革推進債を発行して資金調達することを認めた。自治体の借金は増えるが、10年以上の分割返済ができ、廃止を後押しする効果がある。

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精選版 日本国語大辞典 「第三セクター」の意味・読み・例文・類語

だいさん‐セクター【第三セクター】

  1. 〘 名詞 〙 ( セクターは[英語] sector ) 国・地方公共団体(第一セクター)と民間企業(第二セクター)の共同出資による事業体。多く、地域開発、都市づくりなどの分野で設立されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「第三セクター」の意味・わかりやすい解説

第三セクター (だいさんセクター)

政府や地方自治体が出資者に加わっている株式会社,有限会社,社団法人財団法人などの民間組織をいう。これらは,政府や地方自治体の部局でもなく,また公社・公団などの公共法人でもないことから,第三セクターと呼ばれている。政府出資の第三セクターには,電源開発株式会社,日本航空機製造株式会社,日本自動車ターミナル株式会社などがある。地方自治体出資の第三セクターには,地方都市開発関係,地方流通センター関係,地方軌道路線関係の企業などを中心に数多くある。

 第三セクターは1960年代の初頭から60年代後半にかけておもに設立された。それらが政府や地方自治体の現業や公共法人としての形態をとらず,第三セクターとして設立された理由は,第1に社会資本の形成に民間の資金を活用すること,第2に,その運営に民間の企業経営に関するノウ・ハウを活用し,経営の効率化を図ること,があげられる。しかし第3に,民間組織としての形態をとることで,議会や官僚組織から比較的独立して経営を行うというメリットが期待されていた点が重要である。とくに,政府・自治体の部局や公共法人の形態をとる場合と異なって,料金改訂などの経営面における決定に議会の同意が必要とされず,状況に即した柔軟な対応が可能なことが期待された。政府や地方自治体が第三セクターの運営にどの程度その権限を行使できるかについては,民間企業の場合と同じく,それらの出資比率が重要である。しかしながら,一般の民間企業の場合と異なり,政府や地方自治体の第三セクターへの出資には,通常,議会の承認が必要であり,法律や条例で定められた政府や地方自治体の権限がどのようなものであるかによって,それらが出資比率以上の強い権限をもつ場合もある。
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百科事典マイペディア 「第三セクター」の意味・わかりやすい解説

第三セクター【だいさんセクター】

地域開発を中心とする開発事業を行うため,地方公共団体や国(第一セクター)と民間企業(第二セクター)との共同出資で設立される企業体。これまで地域開発などは国や地方公共団体で行われていたが,予算等にしばられ短期間に大規模な事業を行うことがむずかしく,また民間企業は利潤追求が第一であるので,その限りでの開発しかできにくい。これらの短所を補い,長所を生かすため第三セクターが考えられた。おもなものに大阪府都市開発会社,むつ小川原開発会社,三陸鉄道を第1号とする旧国鉄特定地方交通線の転換地方鉄道などがあるが,リゾート開発での失敗例も生じている。→PFI
→関連項目IRいしかわ鉄道[株]インキュベーター市町村農業公社鉄道民営鉄道

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「第三セクター」の意味・わかりやすい解説

第三セクター
だいさんせくたー
the third sector

国もしくは地方公共団体の資金と民間企業の資金をあわせて、一定の事業を行う方式。本来、国もしくは地方公共団体がやるべき事業(公共セクター)に民間企業の資金(民間セクター)を導入することに始まったため、第三セクターの名が生まれた。企業形態としては、公私混合企業になる。地域開発や都市づくりの事業に昭和40年代から多用されるようになった。初期の代表例は、大阪府南部の泉北ニュータウンへの通勤鉄道の建設、東大阪流通センターなどを経営するため、大阪府、関西電力、大阪瓦斯(ガス)、住友・三和・大和(だいわ)の三銀行の出資によって設立された大阪府都市開発株式会社である。新全総(新全国総合開発計画)を遂行するための苫小牧(とまこまい)東部開発会社、むつ小川原開発会社、鹿島(かしま)都市開発会社、旧国鉄・JRの赤字ローカル線をこの方式で経営するものが現れている。三陸鉄道会社はその代表例である。しかしながら、第三セクターの多くは経営難に陥っており、その打開に苦慮しているのが現状である。

[森本三男]

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知恵蔵 「第三セクター」の解説

第三セクター

地方レベルにおける公共部門と民間営利企業との混合企業体、具体的には地方公共団体と民間企業が共同出資して設立運営する地方公社のうち、株式会社形態をとる商法上の法人のこと。この定義は日本独特で、公共セクター(第一セクター)、民間営利セクター(第二セクター)に対する民間非営利の市民セクターを第三セクターと呼ぶ欧米の用語法とは異なる。1980年代後半に、中曽根政権下の「民活法」「リゾート法」などを契機に官民双方のメリットを生かすとして全国的に急増したが、官民の役割分担が不明確であったため、もたれ合いによる放漫経営を招きがちで、バブル崩壊と共に経営難が表面化、大きな問題となっている。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「第三セクター」の意味・わかりやすい解説

第三セクター
だいさんセクター

地域開発,都市づくりなどのため,国または地方公共団体と民間企業との共同出資によって設立された事業体。公共的な事業に,民間の資金と能力を導入する民間活力活用の方式の一つである。

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