改訂新版 世界大百科事典 「帆立貝式古墳」の意味・わかりやすい解説
帆立貝式古墳 (ほたてがいしきこふん)
古墳の一形式で,円丘の一方に比較的小さな方形の付属物が付き,平面形がホタテガイに似た古墳の総称。厳密には円墳に方形の造り出しが付属したものと,前方後円墳の前方部が短小化したものとを区別すべきであるが,判断が困難な場合も少なくない。古墳時代中期に多く,全国では400例を超える。規模は前方後円墳と比較すると相対的に小さい。大型前方後円墳の陪冢(ばいちよう)的位置にある場合もあるが,地域によっては古墳群の中心をなす場合もある。前方後円墳として作ることが許されなかったという理解から,そこに大和政権による規制を認めようという説が提出されている。なお,古墳出現前後の時期に円形や方形の墳丘に小さな方形の突出部をもつ例が見られるが,それらは古墳の型式化以前のものとして区別する必要がある。
執筆者:和田 晴吾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報