日本大百科全書(ニッポニカ) 「帮」の意味・わかりやすい解説
帮
ぱん
仲間の意。幇、幫とも書く。中国、明(みん)・清(しん)時代、漕運(そううん)に従う運糧官軍は、各地に設置された衛所に配せられ、一隻10人乗りの漕運船10~20隻で一帮をつくり、一衛所に数帮があった。帮はいわば船団で、輸送の際の行動、命令の伝達、給与の受領、経費の支出、相互扶助、監視などの単位である。彼らは生計の足しに、禁を犯して商品を密輸していた。清代では、乗組員10人のうち9人が民間から雇う水手なので、帮を細分して甲をつくって監視した。しかし密輸は盛行し、帰りの空船では私塩(やみしお)を運んだ。この密輸には風客といわれるボスが水陸に采配(さいはい)を振り、当局の取締りには鉄砲で武装抵抗し、清末には無頼の徒も漕運船に流入し、反社会的、反清的行動に出た。しかも漕運制度が崩壊し始めると、貧窮化した彼らは、太平天国などの反乱軍や、秘密結社などに身を投じた。哥老会(かろうかい)の一派、青帮(ちんぱん)にはとくに多く流れたといわれる。
[星 斌夫]
『星斌夫著『大運河――中国の漕運』(1971・近藤出版社)』