( ①について ) ( 1 )鷹狩に用いられた「麾(ざい)」、または禅僧の威儀具「払子(ほっす)」に由来するといわれ、古くは「平治物語絵巻‐待賢門合戦巻」(江戸後期模本)に犛(はぐま)(=白熊)の毛の采配らしきものがあるが、それ以降は戦国時代に至るまで、確実な用例はない。
( 2 )これを手にする者が指揮官となり、振り動かして合図をしたところから、「采配を取る」「采配を振る」で、指揮をすることを意味するようになった。
日本の指揮用具の一つ。再拝,采幣,采牌などとも書くが,いずれもあて字である。古く放鷹(ほうよう)にあたってタカの指揮に用いる切り裂き紙をたばねた竿(さお)を〈ざい〉といい,また犬追物(いぬおうもの)の合図にも神供の幣を用いて〈再拝〉といった。しかし16世紀以来ひろく軍陣にも使用して,遠近の部下に司令を示す指揮用具となり,軍神を勧請(かんじよう)して主将の料とされ,軍功によって手兵を授けられた部将にも使用が許可された。そのため再拝の紙は白紙を本儀とするが,軍学の流行につれて金の切割(きりわり),朱の切割などが生じた。また入道した武将が,白熊(はぐま)と称してヤク(犛牛)の尾毛をたばねた払子(ほつす)を使用したが,再拝にも紙のかわりに白熊を用いることが行われるようになった。さらにこれを将帥の料と伝える麾旌(きせい)の遺制と考え,麾の字を〈さい〉と呼んで再拝の意に用いるようになった。再拝には甲州流,越後流などが詳細な規定を示すが,初期の風はきわめて簡素である。
執筆者:鈴木 敬三
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軍勢の進退を指揮するため、大将以下将帥の持った用具。30センチメートル程度の柄(え)の先に、幅1.2センチメートルほどに細長く裂いた白紙や、白熊(はぐま)の毛などを束ねて取り付けたもの。近世初期のものは粗末な製作であるが、後世は、金銀箔(はく)押し、朱塗りに、柄も塗りとし金具をつけた豪華な製作がある。その始源は、鷹狩(たかがり)の鷹匠、射術の検見(けみ)役などが合図に振る「麾(ざい)」や、禅僧の威儀具の「払子(ほっす)」などに由来するものとされる。軍陣での所用の古い例は、『平治(へいじ)物語絵巻』(原本は伝わらず模本)待賢門合戦の条に犛(はぐま)(白熊)の毛の采配がある。しかし、それ以後、戦国時代に至るまでは、確実な使用例はない。近世中ごろには当世具足の胸部に打った環を、「采配付けの環」と称しているから、近世初期までには広く普及していたのである。また江戸初期作製の本多忠勝(ただかつ)や黒田長政(ながまさ)らの甲冑(かっちゅう)着用の肖像画にも采配を持った姿が描かれている。指揮具としてよりも威儀の具であったとも思われる。
[齋藤愼一]
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