日本大百科全書(ニッポニカ) 「青帮」の意味・わかりやすい解説
青帮
ちんぱん
中国、清(しん)代の民間における秘密結社の一つ。清帮とも書く。もともと帮(幇)とは旧中国では手工帮(ツンフト)や同郷団体をさし、明(みん)代に禅から出た民間信仰の羅教(らきょう)の流れをくむと伝えられている。1726年、政府から翁雍(おうよう)らが大運河の漕運(そううん)を取得し、そこで帮の規約と儀式をつくり、長期にわたって封建的特権を保持していた。大運河の利用が、海運利用によって衰えてくると、農村、都市の遊民と手を結び、上海(シャンハイ)などでは交通労働者、手工業者、商店員、兵士、下級警官のなかにも浸透した。1912年の中華民国成立以後はアヘン窟(くつ)、賭場(とば)、妓院(ぎいん)の経営で巨利を収め、幹部は政界、実業界に進出した。蒋介石(しょうかいせき)の四・一二クーデターでは革命的労働者に銃火を浴びせ蒋政権樹立に力を貸した。上海の闇(やみ)の主(ぬし)であった杜月笙(とげつしょう)(1887―1951)はその代表的人物であった。日中戦争の期間、日本の特務機関は大いに青帮の組織を利用し、売国的行為を行わせた。
[山下龍三]