平和利用核爆発(読み)へいわりようかくばくはつ(英語表記)peaceful nuclear explosion; PNE

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平和利用核爆発」の意味・わかりやすい解説

平和利用核爆発
へいわりようかくばくはつ
peaceful nuclear explosion; PNE

核兵器開発のための核爆発と区別し,平和目的のための核爆発をさす。その用途は運河,灌漑施設,港湾,ダム建設などの大規模な土木工事,天然ガス石油など地下資源の採取人工元素の大量製造など多方面にわたるが,実用化はまだ初歩的な段階。アメリカが 1957年から運河建設,鉱床開発などのための「プラウシェア計画」に着手,その後天然ガス誘出の「ガスバギー計画」などを手がけて,地下核実験を試みてきたが,72年頃から予算も大幅に減少。一方,ソ連は数多くの爆発実験を行い,ボルガ川の増水計画に取組んだ。 PNEを拘束する条約は 76年に米ソ間で結ばれた平和目的地下核爆発制限条約があるだけで,PNEの規制は核兵器拡散防止問題にとって重要視されてきた。インドは 74年5月,プルトニウム利用の核爆発装置の実験を行い,その目的は平和利用にあると強調。特に 67年のラテンアメリカ核兵器禁止条約が PNEの実施を認めているため,インドに続いて他の潜在的核保有国,とりわけ核兵器不拡散条約の非締約国が PNEと称して核兵器開発のための実験を行う可能性もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android