平和目的地下核爆発制限条約(読み)へいわもくてきちかかくばくはつせいげんじょうやく(その他表記)Treaty on Underground Nuclear Explosions for Peaceful Purposes; PNET

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

平和目的地下核爆発制限条約
へいわもくてきちかかくばくはつせいげんじょうやく
Treaty on Underground Nuclear Explosions for Peaceful Purposes; PNET

1976年5月 28日,アメリカでは G.フォード大統領がホワイトハウスで,ソ連では L.I.ブレジネフ共産党書記長がクレムリンで署名した平和目的地下核爆発に関する条約。 74年7月の米ソの地下核兵器実験制限条約で規制できなかったため,別条約が結ばれたもの。平和利用核爆発を行なった国が核兵器開発に関連する利益を得てはならないこと,またそのような利益を得ないことを検証によって保証すること,などをねらいとして結ばれ,(1) 単一で TNT換算 150ktをこえる威力の核爆発,(2) グループ爆発で,それぞれの爆発威力の決定が不可能なものは,総計威力が 150ktをこえる核爆発,(3) グループ爆発で,その総計威力が 1500ktをこえる核爆発,を禁止している。米ソ両国は,もし要請があれば,第三国の領土内で平和利用の核爆発を行う権利を留保している。検証については,原則として「自国の検証技術手段」を使用することになっているが,総計爆発威力が 150ktをこえる場合などには,相手国の「指定された人物」が爆発現場に立入り,検証できることを定めている。地下核実験制限条約と同じく,効果的な検証措置をめぐって米ソの意見が対立したため長く批准されず,ようやく 92年 12月に発効した。

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世界大百科事典(旧版)内の平和目的地下核爆発制限条約の言及

【核実験】より

…そのような口実を与えないために,スウェーデンが技術的検討を提唱し,65年〈核実験探知クラブ〉(地震学的データ交換会議)が設けられ,68年には非政府代表の専門家会議が開かれ,マグニチュード4.75以上の地下実験は探知・識別が可能という結論を出した。 これを受け,スウェーデンなどが各種の実験制限・禁止案を提案したが,部分的核実験停止条約調印後およそ10年目に米ソが合意したのは〈地下核兵器実験制限条約〉(TTBT,1974年7月3日調印)と〈平和目的地下核爆発制限条約〉(PNET,1976年5月28日調印)であった。前者は爆発威力150kt以上の地下実験を禁止し,後者は平和目的という名目による同規模以上の核爆発を禁止している。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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