朝日日本歴史人物事典 「幸正能」の解説
幸正能
生年:天文8(1539)
戦国・江戸前期の小鼓役者。通称五郎次郎。法名月軒雲星。父は小鼓の名人宮増弥左衛門の弟子,幸四郎次郎忠能で幸流の祖。永禄7(1564)年父と共に石橋勧進能に出演。同11年には観世宗節と共に安芸国へ下向,厳島社の観世大夫法楽能に出演。天正3(1575)年将軍足利義昭の意を受け安芸国の毛利輝元の許へ赴き,鼓を教授しながら将軍下向のために尽力,以後義昭の愛顧を受け,のちには金春座の鼓方として豊臣秀吉にも重用された。北七大夫に「道成寺」を伝授するなど,その技量は衆人の認めるところであった。<参考文献>『幸正能口伝書』(能楽資料集成13巻)
(石井倫子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報