下向(読み)ゲコウ

デジタル大辞泉 「下向」の意味・読み・例文・類語

げ‐こう〔‐カウ〕【下向】

[名](スル)
高い所から低い所へおりていくこと。
都から地方へ行くこと。
「先代一週忌の法会のために―して」〈鴎外阿部一族
還向げこう」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下向」の意味・読み・例文・類語

げ‐こう‥カウ【下向】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 高い所から低い所へおりて行くこと。
  3. 都から地方へ行くこと。くだること。
    1. [初出の実例]「不相府気色不快、任天運下向」(出典小右記‐寛弘二年(1005)二月二七日)
    2. 「既に十二三日と云ふは、これより殆(ほとんど)鎮西へ下向ござむなれ」(出典:平家物語(13C前)二)
  4. げこう(還向)
    1. [初出の実例]「まろは七度詣し侍るぞ。三度は詣でぬ。いま四度はことにもあらず。まだ未(ひつじ)に下かうしぬべし」(出典:枕草子(10C終)一五八)
  5. げぎょう(下行)

した‐むき【下向】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 下の方を向いていること。うつむいていること。⇔上向き
    1. [初出の実例]「菊薗や下向は左へ左へと」(出典:俳諧・文政句帖‐五年(1822)九月)
    2. 「酌をしながら、美しい眼が下向きに、滴り落ちる酒にそそがれて」(出典:星座(1922)〈有島武郎〉)
  3. 物事調子勢いなどが衰えてくること。かこう。⇔上向き
    1. [初出の実例]「その時もやっぱり運の下向きの時でしたが」(出典:苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉一)
  4. 相場が下がる傾向にあること。⇔上向き。〔取引所用語字彙(1917)〕
    1. [初出の実例]「少々下直なるを、後に立会たとも下向きに立会た共言」(出典:稲の穂(1842‐幕末頃))

くだり‐むき【下向】

  1. 〘 名詞 〙 上方から下方に、または上位から下位に向かって行くこと。
    1. [初出の実例]「老いが身の山とし高くのぼりきてくだりむきなるさかぞ末なき〈他阿〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)三六)

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