三統暦(読み)さんとうれき(英語表記)Sān tǒng lì

精選版 日本国語大辞典 「三統暦」の意味・読み・例文・類語

さんとう‐れき【三統暦】

〘名〙 中国太陰太陽暦前漢太初暦を綏和二年(前七劉歆(りゅうきん)増補整理した暦法。この暦法には惑星現象や日月食の予報推算などが盛り込まれていたため、天体暦的要素をもつことになったが、これは後の暦法に強い影響を与えた。〔制度通(1724)〕 〔漢書‐律歴史上〕

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デジタル大辞泉 「三統暦」の意味・読み・例文・類語

さんとう‐れき【三統暦】

中国、前漢劉歆りゅうきんが作った太陰暦。前7年成立。3代に行われた太初暦を増修したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「三統暦」の意味・わかりやすい解説

三統暦 (さんとうれき)
Sān tǒng lì

漢の武帝の太初1年(前104)に太初暦が施行されたが,その暦法は前1世紀末の劉歆(りゆうきん)によって補修されて三統暦と名づけられ,王莽(おうもう)の新,後漢で用いられ紀元84年(元和1)まで使用された。三統暦では夏(か)を天統,殷を地統,周を人統とした三正循環説によって理論づけして,暦法上の法数に思想的な意味を与えた。三統暦の1回帰年の値は365日+385/1539日,1朔望月の値は29日+43/81日で,両者は19年7閏の法によって結ばれた。暦推算の起点に某年の前年11月(夏暦)に朔と冬至が合致する日をあてて,19年=1章を経て同じ状態に復帰するようにした。1統=81章=1539歳で日の干支が復帰し,1元=3統=4617歳で年の干支も復帰する。太陽・月・五惑星が基準状態にきた時点から起算する上元積年の法を導入し,惑星の会合周期もかなり正確な値を使用,日食周期を135月として予報を行った。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三統暦」の意味・わかりやすい解説

三統暦
さんとうれき

中国の史籍に記載された最初の暦法。前漢の劉歆(りゅうきん)が、紀元前104年(太初1)から前84年(元和1)まで行われた鄧平(とうへい)の「太初暦」を増修したものである。太陽年を365+(385/1539)日、朔望(さくぼう)月を29+(43/81)日とし、ギリシアのメトン法と同じく十九年七閏法(しちじゅんほう)を採用する。1章19年は6939+(61/81)日となり、81章1539年を1統と称し、月の大小、閏(うるう)月はこれだけの期間をもって循環し、3統をもって日の干支(えと)も循環する。

[渡辺敏夫]

『渡辺敏夫著『暦のすべて』(1980・雄山閣出版)』

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世界大百科事典(旧版)内の三統暦の言及

【中国天文学】より

…卵黄といえば球形であるが,実際には大地を平面と考えており,大地が丸いという考えは〈渾天説〉にもなく,地動説は明末にイエズス会士がヨーロッパ天文学を伝えるまで,中国人は知らなかったのである。 中国暦が〈天体暦〉の性格をもつようになったのは,〈太初暦〉を増補してできた前漢末の劉歆(りゆうきん)の〈三統暦〉からである。《漢書》律暦志に収録された〈三統暦〉には,水・金・火・木・土などの5惑星の会合周期の数値がほぼ正確に記載されており,これを利用して惑星の位置を計算している。…

※「三統暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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