山川 世界史小辞典 改訂新版 「延安整風運動」の解説
延安整風運動(えんあんせいふううんどう)
1942年以来中国共産党が革命根拠地の延安を中心に行った思想教育運動。太平洋戦争の勃発後,共産党はそれが直面していた困難な状況を乗り切るために,さまざまな運動を展開した。整風運動はその一環であり,党員の思想的・イデオロギー的一元化を図ることで危機に対処しようとしたもの。その際,三風整頓というスローガンが提起され,学習における主観主義,党活動におけるセクト主義,文章における形式主義の克服が呼びかけられた。とりわけ,知識人に対しては,毛沢東の「延安の文学,芸術座談会における講話」が文学,芸術活動に関する指針として示された。しかし,整風運動はたんなる思想教育運動ではなかった。それはコミンテルンの戦略や指示を金科玉条とする王明(おうめい)(陳紹禹(ちんしょうう))らソ連留学生派に対して毛沢東が仕組んだ権力闘争でもあった。この闘争を通じてソ連留学生派の党内における影響力が大いにそがれるとともに,毛沢東はカリスマ的指導者として姿を現した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報