朝日日本歴史人物事典 「延鎮」の解説
延鎮
平安前期の法相宗の僧で京都清水寺の開祖。一説に弘仁12(821)年没。報恩の高弟で師の没後,子島寺を継いだ。宝亀9(778)年京都の乙輪(音羽)山に移り,延暦17(798)年坂上田村麻呂がその地に開いた清水寺の開祖となった。延鎮は学僧タイプの僧ではなく,修験者的要素の強い報恩の弟子であり,清水寺開基に当たって真言を呪し観音を念じている姿からして,修験・雑密の徒としての優婆塞的(在家のままの)修行者であったとされる。<参考文献>『清水寺縁起』,逵日出典『奈良朝山岳寺院の研究』
(追塩千尋)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報