日本大百科全書(ニッポニカ) 「建築研究所」の意味・わかりやすい解説
建築研究所
けんちくけんきゅうじょ
住宅、建築、都市計画に関する技術の研究・開発などを行う国土交通省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はBuilding Research Institute、略称はBRI。「国立研究開発法人建築研究所法」(平成11年法律第206号)を根拠法とする。所在地は茨城県つくば市立原(たちはら)。1942年(昭和17)大蔵省に設立された建築研究室が始まりで、1948年に建設省建築研究所となり、2001年(平成13)1月の省庁再編で国土交通省建築研究所と改称、同年4月に独立行政法人、2015年4月に国立研究開発法人に移行した。
建築研究所は、研究テーマに応じて六つの研究グループに分かれている。(1)構造研究グループ。新しい設計手法、改修技術、非構造部材などの研究を行い、建築物の構造安全性等の向上を目ざす。(2)環境研究グループ。建築物の温熱環境、省エネルギーなどの研究を行い、快適な生活空間の実現や地球環境の負荷軽減を目ざす。(3)防火研究グループ。火災現象の調査・分析、防耐火性能の評価、防火対策技術などの研究を行う。(4)材料研究グループ。建築に用いる材料の生産技術や評価技術を研究し、建築物の長寿命化およびリサイクルなどを目ざす。(5)建築生産研究グループ。建築計画におけるマネジメント技術、ユニバーサルデザインによる住宅などの研究を行う。(6)住宅・都市研究グループ。地域に適した住宅あるいは町づくりのための技術、防犯性能の高い住宅、建物緑化の推進などの調査・研究を行う。
以上のグループのほか、国際地震工学センター(IISEE)が設置され、ここでは開発途上国からの研修生を受け入れ、地震学・地震工学に関する研修を実施している。また、研究の成果は、国の行政施策の立案、技術基準の策定などに反映されており、『建築研究資料』『BRI研究レポート』などの刊行物で発表している。
[編集部 2017年10月19日]